ナンバーガール、2度目の解散ライブを現場で見てきた。
ナンバーガールは我が青春のバンドの一つ。中学校の頃、テレビ埼玉(まだテレ玉という名称ではなかった)で放映されていた「タッチ」のPV(まだMVという呼称ではなかった)を見たことで、ファンになった。高校受験とか、部活とか、友達との衝突とか、親への反抗とか、学校への反抗とか、今となっては草を生やすしかない黒歴史、自分が青かった時代のBGMの一つが、ナンバーガールだった。どの曲を聴いても、中学校とか高校とか今はもうない実家の一軒家の自室とかが目に浮かんでしまって、普段はあんまり聞けない…。当時、BRAHMANやJoy Division/New OrderやUnderworldも聴いてたけど、彼らに対してはそうはならない。彼らは今も活動していて、歴史を常に上書きし続けているからだ。一方、ナンバーガールは私の中では、私がガキだった頃に時が止まってしまったバンドだから、エモさが炸裂しちゃう。
1回目の解散の時はライブに行けなかった。時間もお金もなかったし、なにしろ当時はチケットが全然取れないことで有名だった。一度もライブで見ることのないうちにナンバーガールが解散してしまったことが、音楽ファンとしての「我が人生の無念」の一つだった。しかし2019年の再結成後に、2020年1月の沖縄公演で、初めてナンバガのライブを見られた。(その時もやっぱりエモい気持ちになった)そして今回は解散ライブを見ることもできた。再結成のおかげで、ティーンの頃の無念は供養された。南無阿弥陀仏。
で、初めて行ったみなとみらいの「ぴあMMアリーナ」。
みなとみらいから10分程度で近くて便利。駅近なのに巨大。4階席まであった!
大箱での公演に加えて、劇場とスペシャの生中継もあった。現場は立ち見席の追加もあって満員。めちゃくちゃ集客しとるやん……規模感Perfumeだよ……。ナンバガってこんな集客コンテンツだったのか……。まあそりゃ私も過去に沖縄しかチケットが当たらなかったわけだよ…。
なお観客のメガネ率が著しく高い。
会場の音質は良好。席にもよるかもしれんが、私はアラを感じず、音に没入できた。2階席の最後方とかいう塩席だったのに。2階席なので、本尊は、ちいぃーーーさくしか見えないけど、まあビジュアルで売ってるわけではないから別にいいっちゃいい。音が良かったので、十分。
いつも通り、Televisionのマーキームーンで入場。
ド頭が「大当たりの季節」で、もしや古い曲からだんだん新しくしてくかと思ったが、別にそんなことはなかった。単純に初期曲が多めなだけだった。
セトリ確認したけど、初期に大幅に偏ってるなー。
https://www.setlist.fm/setlist/number-girl/2022/pia-arena-mm-yokohama-japan-5bbc9bc8.html
ここ↑画面下部の収録アルバムは一部間違ってるけど、少なくともナムヘビの曲は4曲しかやってない。
ブレイクタイム(向井曰く「休憩タイムではない。気をつけろ!」)ありで、全体3時間。あのブレイクは、演者の体力回復タイムか?その間、昔からの思い出写真集みたいな映像が流れ、最後、直近に4人で撮られた修正しまくりのプリクラが映ったのが草。4人とも薄顔だから、完全に別人になってたwww
アンコールは2回。ラストは客電がついたまま「透明少女」。演奏3時間中、透明少女は4回やってるwやりすぎ………。
「U-REI」と「日常に生きる少女」で、タバコ6本くらい吸ったり(承太郎もしくはオインゴボインゴかよ)、ゴム製の人形?を伸ばして遊んだり、向井が中尾とひさ子の演奏を邪魔するという、おふざけタイムあり。仲良さそうじゃん……。
劇場とスペシャの中継があることについて向井「恥晒し!思い出作り!山田太一!」って言ってたの笑う。おふざけタイムといい、笑い要素が強め。観客もヤジとばしまくり。ヤジに対して向井は「腹から声出さんと何言っとーか聞こえんばい」みたいなことを言っており演者には通じてなかったっぽい。「解散すんな」「新曲出せ」とか観客に言われてたんだけどw
セトリの中では、田渕ひさ子の金切りギターが堪能できる曲がとてもよかった。現場に行った甲斐を感じる。「U-REI」「Tatooあり」「NUM-AMI-DABUZ」とか。PILのキース・レヴィンみたいな系統でかっこいい。ナンバガの後期楽曲には和の要素が入ったので、洋楽にはない唯一無二のものになってて本当にかっこいい。(だから私はアルバム単位ではナムヘビが一番好きだ)なにしろ、あの飄々とした飾り気のない風体でそれをやるのが最高にクール。今回もひさ子のお飲み物は「おーいお茶」の250mlパック。なお、向井のお飲み物はやっぱりアサヒスーパードライ(1缶飲み終わるとスタッフが追加する)
ところで、ナンバーガールのメンバーのルックスといえば、「ロックスター然としていない」とよく揶揄されていた。はっきり言えば「地味」だと。でも初めてナンバーガールを知った中学生の頃、まだ私の中に「ロック」の引き出しがなかったから、彼らのルックスの地味さが全く気にならなかった。しかも同時期に好きだったバンドの一つがJoy Division/New Orderだったもんで、バンドマンは襟付きのシャツを着ているのが普通なのだと思い込んでいた。まあ真実、全然そんなことはない。多分、それぞれ彼らより少し前の世代の、華美なロックミュージックアイコンへのアンチテーゼとして、あの地味な服装をしているのかもしれないなと、後から推察している。クールで皮肉でかっこいい。JDの前の世代は産業ロック。ナンバガの前の世代はV系。
高校生の頃は周りの友達も数名ナンバガを聴いていた。類は友を呼ぶらしく、サブカル女の割合が高かったなあと今となっては思う。その子達は、確実に全員、濱マイクを見てて、X-Girlを着ていて、好きな映画監督は岩井俊二で、学校帰りにルミネ大宮の宇宙百貨でくだらん文具を買うのだった。やだもーww(その子達の成長後の特筆すべき例としては、インドにハマる女、スペインにハマる女。そして私が台湾にハマる女)
………で、当時、サブカル女同士で「ナンバガはドラムがいい」と褒め称えあっていたことを、ライブ中に思い出した。アヒトのドラム、かっこいいよね。疾走感と軽やかさがいい。ライブ後に調べたら、アヒトは昼間にカタギの仕事をやってるとかなんとかだそうで、驚いた。初期ZAZEN BOYSにいたのに脱退したあたり、マイペースにやって行きたい性質なのかもしれない。
公演の最後、全員の直近の次の予定を宣伝するタイムがあった。向井は年末、ZAZENでカウントダウンジャパンに出演するらしいが、解散にあたっての文章(「稼ぎてえ」のやつ)を読むに、ZAZENよりナンバガのほうがはるかに稼げる……ということなんだろう…。まあ実際あの集客力に驚いた。私の好きな曲では「INUZINI」をやらなかったのが残念なのだけど、この感じだと、また向井が「稼ぎてえ」と思ったら再々結成しそうだなと楽観している。INUZINIはその時のお楽しみにしておくわ!!